山菜料理 出羽屋

山の暮らし便「ふきのとう味噌」

季節のたより

2026.03.20

冬の記憶が、少しずつ遠くなってきました。

ついこのあいだまで雪に覆われていたはずの山が、気づけば静かにほどけていて、その下から小さな緑が、ひとつ、またひとつと顔を出しています。

ふきのとうです。

先日、山へ採りに行ったときのこと。

ここ最近、雨が降っていなかったせいか、山の表情はどこか乾いていて、葉も土も、少しだけかさついて見えました。

でも、土に触れてみると、その奥にはしっかりと湿り気が残っていて、指先に静かに伝わってくるやらかさ。

見えているものと、その奥にあるもの。
その間に、いのちは潜んでいるのだと思いました。
我が家の寝室は、カーテンを閉めずに眠ります。
最近は、朝の5時を過ぎると、もう外が明るくなりはじめていて、その光に、ふと目が覚めると、なんだか少し得をしたような気持ちになります。

春は、こういう小さなよろこびを、ひとつずつ運んできてくれる季節です。



今回の「山の暮らし便」には、

・天然のふきのとう
・出羽屋の玉みそ
・ホーローの容器
・ふきのとう茶


を詰めてお届けしました。
使い方は、決まっているようでいて、決まっていません。
ふきのとう味噌にしてもいいし、天ぷらにしてもいい。
暮らしの中で、その日の気分に合わせて、自由に使っていただけたらうれしいです。



出羽屋のふきのとう味噌は、少しだけ、つくり方が違います。

一般的には、茹でて刻んで和えることが多いのですが、わたしたちは、ふきのとうを、いったん揚げます。
そうすることで、あの独特の苦味がやわらぎ、かわりに、深いこくが生まれます。

きっかけは、ずっと前のこと。

海外からのお客さまにお出ししたとき、「苦くて食べられない」と言われてしまって。
どうしたら、この山の味を、もう少しやさしく届けられるだろうと考えて、このかたちにたどり着きました。

甘めの玉みそと合わせることで、今では、多くの方に楽しんでいただける味になりました。

そして、もうひとつ。

今回お入れした、ホーローの器。

これは、しまっておくためのものではなくて、暮らしの中に、出しておくための道具だと思っています。

少し残ったおかずを入れたり、出来上がったふきのとう味噌を移したり。
冷蔵庫からそのまま食卓へ運んで、また、そっとしまう。

そんなふうに、行き来しながら使われていくうちに、少しずつ、その人の暮らしに馴染んでいく器です。

特別な日のためではなく、
何気ない日のそばにあるもの。


気づけばいつも手に取っている、そんな存在になってくれたらいいなと思っています。
ささやかにお入れした、ふきのとう茶。

甘くない煎茶に、ふきのとうの葉を少々。
お湯を注ぐだけの、素朴なものですが、
湯気の中に、あの春の香りがふわりと立ちのぼります。

飲むというより、山の空気を、ゆっくり吸い込むような時間。
忙しさの合間に、少しだけ立ち止まるきっかけになればと思い、そっと忍ばせました。

(ふきのとうの葉は、生のものなので、お早めにお召しあがりくださいね)
もし、玉みそが少し余ったら。

ふきのとう味噌と、豆乳と、もう少しの玉みそを加えて、やさしい味のソースをつくります。
そこに、茹でたうどんを入れると、春のクリームうどんの完成です。
決まりのない使い方の中で、それぞれの暮らしに、少しずつ馴染んでいくこと。
それが、この箱のいちばんの役割なのかもしれません。

山の時間を、
ほんの少し、食卓に。


そんなふうに受け取っていただけたら、うれしいです。



今回、はじめてお届けした「山の暮らし便」。

ただ食材をお届けするのではなく、暮らしそのものを、そっと箱に詰めて送りたいと思いました。
皆さんのもとに、届いていたらうれしいです。

次は、初夏のころに。
また、お会いしましょう。



ふきのとう味噌のつくり方

ふきのとう 100g に対して、
味噌 50g ほど。

1.ふきのとうを油で揚げます。
 揚げるのがむずかしい場合は、油でゆっくり炒めても大丈夫です。

2.カラッと揚がったら油をきり、
 火傷に気をつけながら、細かく刻みます。

3.味噌を少しずつ加えながら、
 スプーンや木べらで和えていきます。


味をみながら、
ご自身のちょうどよいところで止めてください。


その日の気分の味で、完成です。


ふきのとうクリームうどんの作り方

豆乳と牛乳を、半分ずつ。
そこに、
玉みそと、ふきのとう味噌、
お好みで少しの生クリームを加えて、
やさしい味に整えます。


別の鍋で茹でたうどんに、
そのソースをかけても、和えても。


湯気のなかに、
ふきのとうの香りが、ふわりと立ちのぼります。


動画については、後日アップいたします。お待たせして申し訳ございません。