山菜料理 出羽屋

じゅんさい沼で、夏をすくう

季節のたより

2025.07.02

出羽屋の夏を彩る山菜のひとつ、じゅんさい。
涼やかなのど越しと、つるりとした寒天質の食感が、
暑さのなかでも心地よい涼を運んでくれます。


そんなじゅんさいについてもっと知りたくて、
6月中旬、私たち企画広報のスタッフ2名で、収穫体験に出かけました。

向かったのは、村山市田沢にある大谷地沼(おおやちぬま)。
地元では「じゅんさい沼」と呼ばれ親しまれているこの場所は、
ちょうど観光の人々で賑わう時期を迎えていました。

その日、空は雲ひとつなく晴れわたり、陽射しはすでに真夏のよう。
沼の水面には、無数の丸い葉がひろがり、
風にゆれるその景色はまるでモネの絵画のようでした。
あとで知ったことですが、じゅんさいはスイレン科の水生多年草。
どこか品のある佇まいにも納得がいきます。


事前予約をしていたおかげで受付もスムーズ。
案内してくださったのは、沼を管理する大高根じゅん菜採取株式会社のスタッフの方。
やさしく、気さくに接してくださり、
昔ながらの箱舟に乗り込む私たちにも、舟の扱い方や摘み採りのコツを、
ひとつひとつ丁寧に教えてくださいました。
舟の上から、目をこらして水中をのぞくと、
葉のあいだから若い芽がぷかぷかと浮かんでいます。
めだかが泳ぐ冷たい水に、そっと手を差し入れて、
やわらかい茎から芽を「こきっ」と折る。
じゅんさいは「収穫」するのではなく、「摘み採る」ものなのだと、手の感触で知りました。
その小気味よい感覚に夢中になり、気づけば無言で摘むことに没頭していた私たち。
暑ささえ、忘れていました。
収穫したじゅんさいはそのまま持ち帰ることができ、
自宅に戻ってすぐ、冷やしてポン酢でいただきました。
自分たちの手で採ったじゅんさいは、格別でした。
新鮮さだけでなく、あの沼の風景や、水のひんやりとした感触までもが、
ひと口ごとに思い出されるのです。


寒天質がやわらかく芽を包み込む様子、
赤い花芽のついたものはこきこきとした食感が増すこと。
そういったことも、体験するまではまったく知りませんでした。
「素材を知る」ということは、五感を通して出会いなおすことなのかもしれません。


私たちは料理をつくる人ではありませんが、伝える人でありたいと思っています。
そのためには、自分たち自身が、山の恵みに出会い、感じ、学び続けること。
これからも、季節のうつろいとともにある出羽屋の味を、
まっすぐに、あたたかくお届けしてまいります。