クリスマスの時期は、寒くても不思議とあたたかい。
師走の忙しさに追われている時であっても、
イルミネーションやデコレーションに華やぐ街、
そこを楽しげに行き交う人々を眺めているだけで
心が浮き立ち、小さな幸福感に与ることが出来る。
全くの見ず知らずの人にも、暖かな空間で平穏に
または楽しく過ごして欲しくなる。
いつもより心が優しくなれる気がする季節だ。
「アンのクリスマス」は、赤毛のアンの作者、
ルーシー・モード・モンゴメリが手掛けた、
クリスマスと新年にちなんだ小品集である。
一編が読みやすい長さとなっているため、
毎日一話ずつ読むことにして、
お話のアドヴェントカレンダーのように楽しむのも
この時期ならではで良いだろう。
師走の忙しさに追われている時であっても、
イルミネーションやデコレーションに華やぐ街、
そこを楽しげに行き交う人々を眺めているだけで
心が浮き立ち、小さな幸福感に与ることが出来る。
全くの見ず知らずの人にも、暖かな空間で平穏に
または楽しく過ごして欲しくなる。
いつもより心が優しくなれる気がする季節だ。
「アンのクリスマス」は、赤毛のアンの作者、
ルーシー・モード・モンゴメリが手掛けた、
クリスマスと新年にちなんだ小品集である。
一編が読みやすい長さとなっているため、
毎日一話ずつ読むことにして、
お話のアドヴェントカレンダーのように楽しむのも
この時期ならではで良いだろう。
わたしと同じくモンゴメリの大ファンだという
編者リー・ウィルハースト氏は、モンゴメリの息子、
スチュアート・マクドナルド博士の協力を得て
未発表の作品や、過去に雑誌上で発表されたものの
読者の目に触れる機会のなかった作品を再発見し、
今にぴったりの一冊を編んでくださっている。
ちなみに日本に紹介してくださった出版社は
暮らしの手帳社、発行者は大橋鎭子さんだ。
タイトルの通り、 赤毛のアンシリーズから、
アンが過ごしたクリスマスの情景も抜粋されている。
一つは「赤毛のアン」読者ならお馴染みであろう、
初めてグリーンゲイブルズで過ごしたクリスマスで
マシューがプレゼントしてくれた、
アンによく似合う素敵な茶色のドレスのお話。
こちらは表紙にも美しい絵で描かれている。
もう一つは、シリーズ中の「アンの幸福」より。
大学を卒業しサマーサイド高校の校長となったアンが、
まるで打ち解けることのなかった同僚・キャサリンを
故郷アヴォンリーで過ごすクリスマス休暇に誘い、
それをきっかけに和解。
新たな素晴らしい友というクリスマスプレゼントを
お互いに受け取った話となっている。
いずれも詳細を紹介したいほど好きなエピソードだが、
今回触れるのは、アンのではないクリスマス。
クロリンダのクリスマスだ。
モンゴメリが描く魅力的な人々は、
それこそ小さな村がありそうなほどにたくさんいるのだ。
本書の第七話「クロリンダの贈りもの」の主人公は
17歳のクロリンダ。
夏にした病気の支払いで今年は一文なし、
大好きな人たちに贈り物が出来ないと、
悲しげなため息を吐く。
その聞き手は60歳のエミーおばさん。
病弱でベッドや車椅子で過ごすことが多いが、
クロリンダのようにため息をつくことは一度もない。
いつも物事の明るい側面を見る性格で、
クロリンダの良き相談相手だ。
この時も、クリスマスにちょっとしたものでも
何か贈れたなら良いのにと嘆き悲しむクロリンダに
おばさんはアドバイスをする。
「お金で買って贈らなくたっていいんですよ。
そういうのが一番いいとも限らないしね」。
これはハンドメイドをすれば良いという話でもない。
訝しむクロリンダを、自分で考えてみるよう諭す。
「わたしの説明を聞いてしまうよりいいと思いますよ。
それに、わたしも説明できないような気がするし。
美しい詩の一節を教えてあげるから、
ヒントにするといいわ。それはね、
〈贈り手のない贈り物はむなしい〉というのですよ」。
クロリンダは家に帰り、エミーおばさんの言葉を
自分でよくよく考えてみる。
贈り物をあげたい面々を思い浮かべてみると、
まずは、たったひとりの身内のメアリ伯母さん。
貧しい境遇に嫌気がさしたクロリンダは、
街へ働きに出る計画をエミーおばさんに打ち明けるが、
伯母さんが寂しくなるのではと図星をつかれた存在だ。
それから勉強を教えてもらったミッチェル先生。
遠い街に引っ越した日曜学校のミセス・マーティン。
幼い頃に自分の面倒を見てくれたキティばあやは、
今は耳が遠く話も退屈で、訪問するのを躊躇う自分を
クロリンダは密かに後ろめたく思っている。
そして、些細なことで仲違いした親友のフローレンスも。
彼ら彼女らの顔を一人一人思い浮かべながら、
四日ほど考え込んだ後、突然、謎が解けたような気がして
クロリンダに次から次にアイディアが湧いてくる。
しかし、中にはものすごく高くつくものもあった。
それは金銭的な意味ではない。
自分からその人にあげるのがとても大変で、
あげた後の自分は、あげる前の自分より
ずっと豊かになっているにちがいないというものだ。
クリスマスの日、クロリンダは四角い重い包みを携え
エミーおばさんの家へ行き、傍らの椅子に腰掛け、
自分が用意したプレゼントの一切を話すことにした。
ミッチェル先生には、父の形見の古い本を一冊。
擦り切れているが、クロリンダ自身も大切にする本だ。
父の書き込みもたくさん入っている本なんて、
大丈夫かと不安に思いもしたが、新しい本より、
父と自分の愛した本の方が価値があると思って決行した。
ミッチェル先生はクロリンダの気持ちを汲み取り、
心の一部をもらったような気がすると喜んでくれた。
ミセス・マーティンには、うんと長い手紙を。
それこそ書くのに丸一日かかり、
郵便局では局長さんに目を丸くされるほどの分量だ。
僻地の西部に行ってしまった日曜学校の先生、
ミセス・マーティンには、彼女の引っ越し後に
この街でどんなことがあったか、細々と、
なるべく面白く書いた手紙が一番と考えてのことだった。
キティばあやには、クロリンダの一日をプレゼント。
編み物を持参して一日中ばあやのそばにいて、
街のニュースやいろんな人の楽しい噂話など、
聞きたいと思うようなことをたっぷり語って聞かせた。
それから、絶交したフローレンスの家を訪ね、
彼女を抱きしめてこう告げた。
「もう一度、昔の親友に戻りましょう」。
フローレンスと再び元通りに過ごすこれからは、
クロリンダ自身にとっても何よりの贈り物になる。
そしてたった一人の家族でもある、メアリ伯母さん。
街へ働きに出て行くのはやめて、
ずっと伯母さんのそばにいると決めたと告げた時、
メアリ伯母さんも大層喜んでくれたが、
クロリンダも嬉しく思ったという。
最後に、クロリンダは、エミーおばさんに
携えてきた重い包みを渡す。
包み紙を渡すと中から出てきたのは、バラの鉢植え。
花好きなエミーおばさんに、大事に咲かせた
白いバラの鉢を贈るのであった。
冬の間も寂しくないと、エミーおばさんは微笑む。
クロリンダのクリスマスは、お金をかけなかったが、
こうして周りの大切な人々を幸せにすることが出来た。
現代は物に溢れている。
このお話で教訓的に学んだわたしも
周囲に贈るクリスマスプレゼントには随分と悩んだ。
お金をまったくかけないことは難しいと感じたが、
クロリンダに倣って、二つ、達成出来たこともある。
詳細はひみつだが、一つは時間を使い心を伝えること、
もう一つは、元気な自分の姿を見せることだ。
ささやかではあったが、喜んでくれたように思う。
目に見えないものを笑顔で受け取ってくれた相手の姿に、
わたし自身も心がぽかぽかになり
忙しい中にも大きなプレゼントをもらって
クリスマスを胸いっぱいに満喫することが出来た。
季節外れの気温だけではない。
クリスマスはやはり、あたたかい。
編者リー・ウィルハースト氏は、モンゴメリの息子、
スチュアート・マクドナルド博士の協力を得て
未発表の作品や、過去に雑誌上で発表されたものの
読者の目に触れる機会のなかった作品を再発見し、
今にぴったりの一冊を編んでくださっている。
ちなみに日本に紹介してくださった出版社は
暮らしの手帳社、発行者は大橋鎭子さんだ。
タイトルの通り、 赤毛のアンシリーズから、
アンが過ごしたクリスマスの情景も抜粋されている。
一つは「赤毛のアン」読者ならお馴染みであろう、
初めてグリーンゲイブルズで過ごしたクリスマスで
マシューがプレゼントしてくれた、
アンによく似合う素敵な茶色のドレスのお話。
こちらは表紙にも美しい絵で描かれている。
もう一つは、シリーズ中の「アンの幸福」より。
大学を卒業しサマーサイド高校の校長となったアンが、
まるで打ち解けることのなかった同僚・キャサリンを
故郷アヴォンリーで過ごすクリスマス休暇に誘い、
それをきっかけに和解。
新たな素晴らしい友というクリスマスプレゼントを
お互いに受け取った話となっている。
いずれも詳細を紹介したいほど好きなエピソードだが、
今回触れるのは、アンのではないクリスマス。
クロリンダのクリスマスだ。
モンゴメリが描く魅力的な人々は、
それこそ小さな村がありそうなほどにたくさんいるのだ。
本書の第七話「クロリンダの贈りもの」の主人公は
17歳のクロリンダ。
夏にした病気の支払いで今年は一文なし、
大好きな人たちに贈り物が出来ないと、
悲しげなため息を吐く。
その聞き手は60歳のエミーおばさん。
病弱でベッドや車椅子で過ごすことが多いが、
クロリンダのようにため息をつくことは一度もない。
いつも物事の明るい側面を見る性格で、
クロリンダの良き相談相手だ。
この時も、クリスマスにちょっとしたものでも
何か贈れたなら良いのにと嘆き悲しむクロリンダに
おばさんはアドバイスをする。
「お金で買って贈らなくたっていいんですよ。
そういうのが一番いいとも限らないしね」。
これはハンドメイドをすれば良いという話でもない。
訝しむクロリンダを、自分で考えてみるよう諭す。
「わたしの説明を聞いてしまうよりいいと思いますよ。
それに、わたしも説明できないような気がするし。
美しい詩の一節を教えてあげるから、
ヒントにするといいわ。それはね、
〈贈り手のない贈り物はむなしい〉というのですよ」。
クロリンダは家に帰り、エミーおばさんの言葉を
自分でよくよく考えてみる。
贈り物をあげたい面々を思い浮かべてみると、
まずは、たったひとりの身内のメアリ伯母さん。
貧しい境遇に嫌気がさしたクロリンダは、
街へ働きに出る計画をエミーおばさんに打ち明けるが、
伯母さんが寂しくなるのではと図星をつかれた存在だ。
それから勉強を教えてもらったミッチェル先生。
遠い街に引っ越した日曜学校のミセス・マーティン。
幼い頃に自分の面倒を見てくれたキティばあやは、
今は耳が遠く話も退屈で、訪問するのを躊躇う自分を
クロリンダは密かに後ろめたく思っている。
そして、些細なことで仲違いした親友のフローレンスも。
彼ら彼女らの顔を一人一人思い浮かべながら、
四日ほど考え込んだ後、突然、謎が解けたような気がして
クロリンダに次から次にアイディアが湧いてくる。
しかし、中にはものすごく高くつくものもあった。
それは金銭的な意味ではない。
自分からその人にあげるのがとても大変で、
あげた後の自分は、あげる前の自分より
ずっと豊かになっているにちがいないというものだ。
クリスマスの日、クロリンダは四角い重い包みを携え
エミーおばさんの家へ行き、傍らの椅子に腰掛け、
自分が用意したプレゼントの一切を話すことにした。
ミッチェル先生には、父の形見の古い本を一冊。
擦り切れているが、クロリンダ自身も大切にする本だ。
父の書き込みもたくさん入っている本なんて、
大丈夫かと不安に思いもしたが、新しい本より、
父と自分の愛した本の方が価値があると思って決行した。
ミッチェル先生はクロリンダの気持ちを汲み取り、
心の一部をもらったような気がすると喜んでくれた。
ミセス・マーティンには、うんと長い手紙を。
それこそ書くのに丸一日かかり、
郵便局では局長さんに目を丸くされるほどの分量だ。
僻地の西部に行ってしまった日曜学校の先生、
ミセス・マーティンには、彼女の引っ越し後に
この街でどんなことがあったか、細々と、
なるべく面白く書いた手紙が一番と考えてのことだった。
キティばあやには、クロリンダの一日をプレゼント。
編み物を持参して一日中ばあやのそばにいて、
街のニュースやいろんな人の楽しい噂話など、
聞きたいと思うようなことをたっぷり語って聞かせた。
それから、絶交したフローレンスの家を訪ね、
彼女を抱きしめてこう告げた。
「もう一度、昔の親友に戻りましょう」。
フローレンスと再び元通りに過ごすこれからは、
クロリンダ自身にとっても何よりの贈り物になる。
そしてたった一人の家族でもある、メアリ伯母さん。
街へ働きに出て行くのはやめて、
ずっと伯母さんのそばにいると決めたと告げた時、
メアリ伯母さんも大層喜んでくれたが、
クロリンダも嬉しく思ったという。
最後に、クロリンダは、エミーおばさんに
携えてきた重い包みを渡す。
包み紙を渡すと中から出てきたのは、バラの鉢植え。
花好きなエミーおばさんに、大事に咲かせた
白いバラの鉢を贈るのであった。
冬の間も寂しくないと、エミーおばさんは微笑む。
クロリンダのクリスマスは、お金をかけなかったが、
こうして周りの大切な人々を幸せにすることが出来た。
現代は物に溢れている。
このお話で教訓的に学んだわたしも
周囲に贈るクリスマスプレゼントには随分と悩んだ。
お金をまったくかけないことは難しいと感じたが、
クロリンダに倣って、二つ、達成出来たこともある。
詳細はひみつだが、一つは時間を使い心を伝えること、
もう一つは、元気な自分の姿を見せることだ。
ささやかではあったが、喜んでくれたように思う。
目に見えないものを笑顔で受け取ってくれた相手の姿に、
わたし自身も心がぽかぽかになり
忙しい中にも大きなプレゼントをもらって
クリスマスを胸いっぱいに満喫することが出来た。
季節外れの気温だけではない。
クリスマスはやはり、あたたかい。
